かなしみにくれる二男

「かなしみにくれる二男」

やれやれ。夏休みが始まってしまった。 今日のお昼は、チキンラーメンだった。 チキンラーメンの上に卵ポケットというのができたらしく、子どもたち二人は、それを試したくてしょうがなかったようだ。 卵を割ってそのポケットに乗せることが楽しくてしかたないようだった。 乗った、乗った、うまく乗った。すごいすごい。 と大喜びだった。 あんな他愛もないことであんなに喜べるなんてしあわせだなあと思った。 しかしその平和は長くは続かなかった。 二男が突然泣き出したのである。 「お兄ちゃんがぼくの卵こわした?」 と言って泣くのだ。 「ちがうよ?わざとじゃないよ?」 と兄が言いわけをした。 「ちがう、わざとだ。お兄ちゃん、ぼくの卵のちょうど上に わざとお湯をかけたんだ。それでこわれたんだ?」 「ほんまかお兄ちゃん?」 と私が尋ねた時 兄が不覚にも一瞬ニヤッと笑ってしまったのを私は見逃さなかった。 で、確信した。やっぱりわざとだ。まったく。 卵がこわれたので、ぐちゃぐちゃになって、イメージ通りの出来上がりにならかったことが悲しくて悔しくてしょうがなかったようだ。 この世の終わりみたいに泣くのだった。 それでも あんな他愛もないことで、あんなに悲しがれるなんてしあわせだなあと思った。